今回の預金準備率引下げは中国企業、特に小企業・零細企業の融資コストの高騰に歯止めがかかると見られる。興業銀行のチーフエコノミスト魯政委氏は、「預金準備率の引下げは金融機関のコスト低減につながり、それによって市場に出回る長期資金は金融機関景況感の安定、企業の融資コストの低下にも寄与できる」と指摘した。
専門家の間では、預金準備率の引下げは中国株式市場や不動産業界にとって好材料となるという見方は一般的となっている。
「株式市場や不動産業界にとっては、間違えなく好材料になる」と中国銀行国際金融研究所のチーフ研究員周景彤は話す。
「株式市場にとっては当然朗報だ。預金準備率の引下げによる将来予想に対する心理改善作用の下で、A株市場もその影響を受け上昇の原動力が増すだろう」と趙錫軍氏は分析する。
一方、趙錫軍氏は、「今回の預金準備率引下げによって市場に出回る資金の構造調整中の業界、たとえば不動産や一部の生産能力余剰産業などへの流入を警戒する必要がある」と警鐘を鳴らし、「そうなれば、実体経済には決して良いことではない。それどころか、従来の不利な局面を固定化する恐れがある」と指摘する。