▽AIIBに惹かれる各国
米国の強烈な反対は、各国がAIIBに引きつけられるのを留めることができていない。各国政府にとってはやはり、発展こそが絶対的な筋道であるからだ。
英・仏・独・伊の欧州4カ国がAIIBへの参加を率先して表明したのには理由がある。張健所長によると、これらの国々はAIIBへの参加によって、アジアの新興エコノミーの成長による利益を受け取る資格を得ただけでなく、中国が打ち出す「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)などの発展戦略に参加することも容易となる。さらにアジアの資金を引き入れて自国のインフラ老化の問題を解決し、投資や雇用を引っ張り、債務危機以来の動力を欠いた欧州経済を刺激するというねらいもある。
アジア太平洋地域の経済が大きな潜在力を持っていることは米国も知っている。「アジア太平洋へのリバランス」戦略の打ち出しもその表れの一つだ。張健所長は、AIIBに参加する国の数が増え、AIIBの影響力が拡大すれば、米国が黙ってこれを見ていることはあり得ず、「自分がいいような方式で参加をはかってくるに違いない」と推測する。
最新情報によると、米日が主導するアジア開発銀行は、AIIBとの協力についてすでに検討を始めており、双方は将来、経験や技術、専門知識の共有で協力を展開する可能性がある。