かつて世界銀行に長年勤務した、ブルッキングス研究所の杜研究員は「現行の開発機構は不完全であり、プロジェクトの評価手続きも煩瑣すぎる。その結果、一部の発展途上国は最近、開発機構に融資を依頼しなくなった。国際社会がAIIBを熱望するのはそうした背景がある。各国は新機構に対して従来の開発機構以上の効果を求めている」と指摘している。 別のアナリストは「AIIBは、新時代の特徴を有した多国間開発金融機関であり、過去の教訓を汲み取り、発展途上国主導型のアジアインフラ投資機構としての立場を堅持していく必要がある」と語った。
実際、アジア地区には持続的発展をするためのインフラが不足しており、アジア諸国が現行の開発機構から受ける融資額は極めて少ない。アジア開発銀行の調査によれば、2010年から2020年まで、アジア各国のインフラ需要は世界の平均レベルに達する。内部インフラ投資需要が8兆ドル、地域性インフラ投資需要が3000億ドルである。しかし現状は明らかに資金不足である。 またAIIBはガバナンスや運営基準、投融資メカニズムについても刷新を図り、高効率の多国間開発機構を構築していく必要がある。