こうした動きをみていると、日常生活の中では象のようなかつての大型家電企業の面影をしのぶことはできない。日立は密かに事業を細分化し、交通、ビル設備、建築機械、産業設備などの分野へと生産ラインを伸ばしている。
日本企業(中国)研究院の陳言院長は、「日立は最も早くモデル転換を進めた在中国日系企業であり、今では家電分野だけでなく、力強い発展を遂げる中国インフラ建設プロジェクトへも触手を伸ばしている。中国の家電消費市場が発展し、中国政府が国産化を方向性とした協力を提唱したのにともない、日立は中国の国内需要の一層の拡大というチャンスをつかんだ。エレベーター、建築機械、鉄道建設などの市場には潜在力が充ち満ちており、一連の措置を通じて巨額の赤字という苦境から抜けだすことができ、モデル転換に成功した」と話す。
2014年3月末現在、日立の中国にあるグループ企業は177社を数え、正社員は約4万6400人に上る。13年度(13年4月1日~14年3月31日)の中国市場での売上高は約671億元(1元は約19.4円)に上り、グループの世界全体の売上高の11%を占めた。日立にとって中国市場は今や最大の海外市場だ。