戸籍や学歴による制限の撤廃は起業・革新人材の生活敷居・戸籍登録のハードルの低下、人材の自由流動を促し、企業の事業拡大に豊富な人材資源が補充されることになる。実際、上海市では上海戸籍の付与を条件とする起業・革新人材誘致活動が試みされている。「世界的に影響力のある科学技術イノベーション・センター建設の加速に関する意見」では、「一定規模のあるベンチャー企業の人材及びチーム、一定規模のベンチャーキャピタルに達した起業人材及びチームなどには、上海市が戸籍を付与することができると提起されている。
もちろん当面では、限られた都市スペースによって、北京・上海・広州・深センといった一線都市(政治や経済で重要な地位を占める大都市)で短期間内における戸籍制限の完全撤廃は不可能だが、戸籍制限の撤廃が人材の適宜な流動につなげることはもはやコンセンサスとなっている。今後二線都市(一線都市以外の地方の中核都市)・三線都市(二線都市以外の地方都市のほとんど)はその先導役になるだろう。結局、「大衆創業・万衆革新」は単に一線都市の「大衆」を指すだけでなく、幅広い中小都市の市民も網羅するものだ。学歴への制限撤廃によって、「一寸の虫にも五分の魂」を得られるようになり、起業・革新はもはや一部の社会精鋭のみに関わることでなく、有能な「グラスルーツ(草の根)」一人ひとりの夢がかかることでもある。