そこで、AIIBの創設は市場経済の法則に合致するだけでなく、発展を支える公益性も帯びている。利他的な公共財をそろえるだけでなく、貸し手と借り手が協力して利益を上げるウィンウィンのメカニズムも備える。資金の提供者もプロジェクトの建設者も、AIIBのプラットフォームで相互利益の協力を実現させることができる。だからこそ、AIIB創設メンバーの列には、欧州の発達したエコノミーもあれば、アジアの発展途上のエコノミーの姿も多くみられるのだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)の全加盟国10カ国が、規模の大小や発展水準の違いにもかかわらず、すべてAIIBに参加した理由はここにある。
注目されるのは、アジアはインフラ建設の発展を渇望するが、これまではアジアに十分に満足のいく誘導事業を提供する者はいなかった。中国は急速な発展にともなって、多くの外貨準備を獲得し、インフラ建設を展開するための豊富な経験と技術力を備えるようになった。AIIBという多国間国際金融協力は、中国が推進するからこそ、これほど急速に設立の準備が進んだといえる。中国は発展を遂げ、一定のインフラ建設能力と資金提供力を獲得し、次はAIIBというアジアの多国間発展メカニズムの提唱を考えた。また中国は自国を資本と技術の純輸入国から輸出国へとある程度転換させることに成功した。中国のバージョンアップはアジアの進歩のモデルケースだ。中国はアジアに援助の手をさしのべ、アジアがより大きな規模で進歩を遂げるよう後押ししていく。
最近、中国と韓国、中国とオーストラリアが、それぞれ自由貿易協定(FTA)を締結した。このことは各二国間FTAの中での国民生活に新たなチャンス、新たな状況をもたらすものであり、地域経済と社会の発展ニーズに合致している。これと似た二国間FTAや多国間FTAがこれから次々に登場する見込みだ。こうしたFTAは関連国の経済発展と国民生活の改善を後押しし、より広範な地域との連動をもたらし、国際社会の経済貿易の質の螺旋状の向上を喚起するものとなるからだ。