24日に開かれた自民党の両院議員総会で、安倍晋三・首相の総裁再選が正式に決まった。これを受けて安倍氏は記者会見で、日本経済の新たな成長目標を掲げた。名目国内総生産(GDP)をいまより20%増の600兆円に引き上げ、経済の建て直しに尽力するとしている。足元の経済状況からかけ離れたこの目標を口にした安倍氏は、「経済重視」の姿勢を演出することによって、政権の安定を図ろうとする思惑が透けて見える。
総裁再選で長期政権への道が開かれた安倍氏だが、安心はしていないようだ。3年後の任期満了まで政権を維持し、悲願の「憲法改正」を実現するには、日本経済がカギを握る。改憲の発議は衆参両院で3分の2以上の賛同が必要となるため、安倍氏にとって来年夏の参議院選挙で勝利することは最低条件だ。日本経済を脱デフレの軌道に乗せることができれば、参議院選挙で安定的な政権基盤を築ける可能性が大きくなり、ようやく改憲に着手する環境が整える。
安倍氏は記者会見で、安全保障関連法案がすでに可決されたため、今後3年間の任期では「経済最優先」の政権運営を進める考えを示した。目先の目標は名目GDPを14年度の490兆円から600兆円に増やすこと。ただ、この目標の実現は決して容易ではない。