中国の今年上半期のGDP(国内総生産)成長率は7%と、前年に比べ伸びが一段と鈍化した。伸び率2ケタ台の高度成長期を経て、中国経済はここ数年、緩やかな減速基調が続いている。底打ちはいつになるのか。失速する可能性はあるのか。中国経済に関心を持つ人々の間でこうした疑問が浮かんでいる。
国家統計局中国景気観測中心の潘建成・副主任は、「どの国でも、経済発展がある段階に到達すると、高度成長から安定成長へギアチェンジする時期が訪れる。『ニューノーマル』(新常態)時代を迎えた中国も、経済成長率はギアチェンジしなければならない」と話す。ただ、注目すべき点として、「ここ2年の減速ペースは明らかに緩んでいる」ことを挙げた。12年から今年半期まで、経済成長率は7~8%という狭いレンジで推移している。四半期GDPの統計を開始して以来、こうした状況は初めてという。「成長率が『低下』しているように見えるが、実は非常に緩やかな低下のため、『横ばい』とも捉えられる」との見解を示した。
また、GDPの「成長率」だけでなく、「増加額」にも注目すべきと指摘。潘副主任は、「ここ6年間の動きをみると、GDP増加額はすでに底を打ち、経済動向のポジティブなシグナルを表している」と解説した。今年上半期のGDP成長率は7%だが、「10兆米ドルという経済規模での成長率だ。増加額は非常に大きい。経済規模が一定水準に達すると、増加額も重要な指標になる」と強調した。
GDP成長率が「L」字型で横ばいするなか、GDP増加額は「U」字回復を見せている。2014年の物価を基準とした実質ベースの試算では、GDP成長率が10.6%だった2010年のGDP増加額は4兆4700億元で、15年の成長率が7%と仮定すると、増加額は4兆4500億元になる。7%の成長率でも、その増加額はここ5年で最も高く、2010年とほぼ変わらない水準だ。