中国外国為替取引センターによる「CFETS人民元為替レート指数」の正式発表は、人民元相場の動向を見守るうえで、社会全体の視点の転換を促す重要な意味を持つ。
同指数は、CFETSの通貨バスケットを参考にして算出する。通貨バスケットは、CFETSで人民元と取引される外貨で構成され、構成ウェイトは中継貿易の要因も考慮し貿易額で加重平均して算出される。構成通貨の価格は、当日の人民元為替レート基準値と取引参考価格を基に決定する。
市場では長期に渡り、人民元為替レートの水準を見るにあたって、主に対米ドルでのレートに注目してきた。しかし解説委員の説明によると、為替レートは複数の貿易相手国との貿易や投資が変動要因となるため、人民元為替レートの動向を対米ドルだけで観察しても、輸出入品の国際的な比較価格を包括的に反映することはできないという。
興業銀行の魯政委チーフエコノミストはこれについて、米ドルとの「関係離脱」を宣言するものだと指摘する。人民元為替相場は今後、対米ドルで一段と柔軟性に富んだものになり、市場化が進むとの見方を示した。同時に、今後は実効為替レートが一段と注目されるようになり、実効レートの的確性が経済に与える影響が益々大きくなるとしている。