上場企業が監督・管理機関の「お墨付き」を失う
許認可制の下、幾度もの監督・管理機関の審査をクリアした企業がようやく上場という「ゴール」に辿り着く。このため、上場企業は優良企業というイメージがある。一方、登録制の導入で情報開示が中心となり、株式の発行時期、規模、価格はいずれも市場参加者が自主的に決定する。発行体の資産の質、投資価値などについて、投資家が自ら判断し、リスクも自己責任になる。監督・管理部門は発行体による情報開示の完全性、一致性、明確性を監督するものの、企業の上場に「お墨付き」を与えることはない。このため、投資家には企業の投資価値を自ら判別する力が求められる。法律・規定に抵触する行為がない限り、投資家が損失を被っても、監督・管理機関の責任にすることはできない。
新株投機ブームが去りゆく
株式発行登録制度の中核は政府と市場の関係を調節することだ。最終的には監督・管理機関が発行価格への管理から手を引き、株式供給、需要のバランス化は市場に委ねる。新規上場企業でも、以前から上場している企業でも、企業価値が株価を決定する。業界関係者は、「株式発行登録制度改革の推進にともない、新株の希少性が薄れ、価格設定の市場化が進み、上場直後に株価の公開価格に対するプレミアム幅が縮小し、やがて新株投機ブームは過去のものになる」と予想している。