四川省の西昌衛星発射センターで12月29日0時04分、衛星軌道運搬ロケット「長征3号B」を利用した地球観測衛星「高分4号」の打ち上げが成功した。これで2015年に行われた人工衛星19基の打ち上げは全て成功、中国の宇宙開発「十二五計画(第12次5カ年計画、2011~15年)」は無事に終了した。
国家国防科技工業局と国家航天局の局長を務める許達哲氏によると、国家重大科学技術特別プロジェクト16件の1つとされる高解像度地球観測システムは、イノベーション・プロジェクト「天眼」と呼ばれる。中国は高解像度の観測衛星打ち上げを通じ、2020年をメドに24時間全天候型の地球観測能力形成を目指す。
「高分4号」は中国で最初の対地同期軌道を運行する高解像度の光学衛星で、解像度は現時点で世界最高水準、最大規模のリモートセンシング衛星でもある。その打ち上げと実用化により中国の地球観測能力は飛躍的な向上が期待できるという。
国防科工局重大特別プロジェクトセンター主任と高分特別プロジェクトのチーフデザイナーを務める童旭東氏は、「『高分4号』は総合的な防災・減災対策、地質災害調査、林業災害観測、気象警報などについて大きな力を発揮し、遠隔探査による時間の計測精度が非常に高い」と指摘。データーの主な提供先は、民政部、国家地震局、国家林業局、国家気象局だという。
「高分4号」は赤道上空の静止軌道を運行し、中国とその周辺を観測。観測範囲は地球表面の約3分の1に上る。「高分4号」は地球の自転周期に合わせて静止軌道を運行する強みを活かし、特定の地域を長期的・持続的に観測できる。動態変化のデータ収集業務のほか、森林火災の監視など緊急事態にもリアルタイムに対応できる。
中国航天科技集団「高分4号」チーフデザイナーの李果氏によると、「高分4号」の重量は5トン、設計寿命は8年。大口径のマルチスペクトルカメラは可視光線、赤外線に対応し、全天候型の解像力を備えている。解像度は可視スペクトルで50メートル、中波赤外線波長域では400メートル。3.6万キロ先の大型タンカーを見分けることが可能で、中国の静止衛星の解像度が現時点で世界最高水準にあることを物語る。
中国の宇宙開発「十二五計画」は目覚ましい成績を収めた。人工衛星開発と打ち上げ能力は世界先端レベル。衛星軌道運搬ロケット「長征」を利用した打ち上げは「十一五計画」期間中に48回、「十二五計画」期間中に86回に上り、中国の軌道周回衛星は144基に達する(5キロ以下の衛星は除外)。中国は宇宙飛行の先進技術や新型衛星の打ち上げなど中核技術を開発し、その実用化でも大きな成果を上げた。人工衛星で収集したビッグデーターは「インターネット+」とスマート中国建設の一助となり、中国経済の新たな成長エンジンとなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月30日