注目のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が1月16日に開業する。
AIIBには中国をはじめとする19のアジア諸国が加入し、創設メンバー57カ国の3分の1を占める。アジアは「一帯一路」構想推進の重点地域だが、インフラ整備の遅れが経済成長を阻害している。アジア開発銀行(ADB)のまとめによると、2010-20年にかけて、アジアで必要とされるインフラ整備資金は年間8000億米ドルに上る見込み。アジアの発展途上国の膨大なインフラ投資需要は、世界銀行やADBなどの国際金融機関だけでは賄いきれない状況だ。
東南アジア最大の経済国とされるインドネシアは、インフラ整備の深刻な遅れが国際競争の最大の足かせとなっている。橋梁、港湾、水力発電施設などの不足が外資誘致の障害となっている。物流網の整備が遅れているため、商品輸送コストが跳ね上がり、自国製品の市場開拓も困難となっている。
インドネシア政府はこれまで、インフラ整備の強化を重点政策としてきたが、資金不足のため多くのプロジェクトが遅れている。インドネシアASEAN南洋財団の李卓輝会長によると、インドネシアのジョコ大統領は「海上高速道路」戦略を策定し、全国で港湾、空港、鉄道、道路などの大型改修プロジェクトを計画している。長期投資額は7000兆ルピア(5200億米ドル相当)に上る見込みだが、政府の出資比率は40%にとどまり、巨額の資金が不足している。李卓輝会長は、世界銀行やADB、国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関だけでは、インドネシアなど発展途上国の資金調達需要には対応しきれないと指摘。インドネシアはAIIBのようなパートナを必要としているとし、AIIBは地域や国のインフラブームをけん引し、地域経済を活性化する原動力になるとの見方を示した。