中国経済は新常態に入り、2010年には10.4%だったGDP成長率は今や、7.0%前後にまで落ち込んだ。こうした状況の中、「中国は衰退している」、「中国が中所得国の罠に陥る確率が高まった」などの声が飛び交っているが、新常態に入った後、中国が「中所得国の罠」を回避することはできるのだろうか?その方法とは?この問題に答えるためには、理論と実践を組み合わせ、発展の法則に即した判断を出さなければならない。人民日報が伝えた。
▽「中所得国の罠」のリスクは今も存在する
「中所得国の罠」は世界銀行が2007年に報告書「東アジアのルネッサンス」の中で提示した概念だ。同報告書によれば、第二次世界大戦後の各国の経済を観察した結果、1人当たりGDPが3千~5千ドルに達し、中所得国の段階に入ると、多くの国が資源の不合理な資源占有、不公平な所得分配、緩慢な技術進歩、社会矛盾の表面化といった原因により、経済社会の発展が長期的に停滞することが明らかになった。例外と言えるのは日本や韓国などのごく少数の国家のみだ。世界銀行はこの普遍的な現象を総括し、1人当たりGDPが5千ドル前後に達した国の経済発展が相対的に停滞する現象を「中所得国の罠」と名付けた。
世界銀行の基準によれば、中国の1人当たりGDPは2008年に3300ドルに達し、中所得国の仲間入りを果たした。その後、2011年には同値が約5400ドルに達し、停滞しやすい段階に入ったが、中国経済が停滞することはなく、2012年には6100ドル、現在は7800ドルに達し、中高所得国の範疇に入った。しかし、中高所得国の中ではまだまだ低水準だ。現在、先進国の1人当たりGDPは軒並み4~5万ドルに達し、世界の1人あたりGDPはすでに1万ドルを超えている。当然、多くの低所得国家も「平均化」された上での数値だ。中国は中高所得国の1人当たりGDPの上限である1万1千ドルからはまだかけ離れており、「中所得国の罠」のリスクは依然として存在する。この罠を回避できるかどうかは、中国の「第13次五カ年計画(2016~2020年)」期の発展における重要な試練であり、小康(やや ゆとりのある)社会の全面的完成に向け、避けては通れない関門だ。