▽「減速するが失速はしない」ことが、「罠」回避の基本戦略
新常態に入った今、中国経済の減速は法則に合致した現象と言える。この減速には直接的な原因と、深いレベルの原因がある。
直接的な原因は、経済成長を引っ張る「三頭立ての馬車(輸出・投資・消費)」から分析しなければならない。2011年から2013年にかけ、中国の消費・輸出の経済成長への寄与度は下がり続けた。特に世界金融危機後の不景気の影響を受けて、輸出の寄与度はマイナスにまで下がり、唯一投資の寄与度のみが増え続けた。2014年から2015年第1四半期にかけて状況はやや好転し、消費・輸出の増加率と寄与度がやや増加したが、投資が他をリードする局面は根本的に変わらなかった。これに加えて資本の限界効率逓減の法則が働き、投資が経済成長をけん引する力が落ち続け、経済の下振れ圧力が強まり続けた。
深いレベルの原因には以下の3つがある。(1)経済発展モデルの転換の遅れ(2)経済構造のアンバランス(3)人口ボーナスの減少、人件費の高騰。
新常態下における中国経済減速の必然性を認識することは、法則に適応し、これを制御し、適度な発展速度を見つけることにつながる。
2014年のGDP(63兆6463億元)と人口(13億6782万人)、人民元の対米ドル基準値(1ドル=6.1224元)を基準とし、経済の高成長プラン(GDP成長率7.0%)、中成長プラン(5.5%)、低成長プラン(4.0%)の3つのプランで2020年、2025年の中国の1人当たりGDPを予測すると、以下のようになる。