ドイツの研究機関が22日に発表した研究報告書で、欧州26カ国が参加している「シェンゲン協定」が崩壊した場合、EU(欧州連合)が受ける損失は向こう10年で少なくとも4700億ユーロに上るとの試算を示した。中国、米国にも1000億ユーロ以上の損失をもたらすと予想している。
ラジオ・フランス・アンテルナショナル電子版が22日に報じたところによると、研究報告書はドイツのPROGNOS研究所がベルテルスマン財団の依頼を受けて作成したもの。国境検査が再開された場合、時間のロス、人件費の増加、納品の遅延、在庫コストの増加などに伴う損失を試算した。
最も楽観的なシナリオでは、「シェンゲン協定」の廃止で国境検査が再開されれば、企業が負担する費用の増加で向こう10年にわたり欧州の生産コストは1%、金額にして4700億ユーロ上昇する。具体的には、ドイツが770億ユーロ、フランスが800億ユーロの上昇となる。