こうした中国企業はなぜエチオピアに居続けようとするのだろうか?鉄鋼業界を例にとってみよう。かつて江蘇省で生産事業を行っていたある鉄鋼メーカーはここ3年間不振に苦しみ、「生産を続ければ赤字、しかし生産を停めれば赤字はさらに増える」という状態であった。しかしエチオピアでの価格は中国の10倍で、しかも市場は供給不足。「このこの1年間で生産量を5倍拡大し、さらに今後の3年間で10倍にまで持っていく」と話す。
紡績業界も同様の状況であった。中国国内では商品の差別化ができないため競争が激化。多くの企業が赤字経営や生産停止といった事態に追い込まれた。しかしエチオピアの工業パークで投資して以降、商品はやはり供給不足が続いているとしている。
マーケットとしての魅力が大きいだけでなく、現地での労働力コストが安いことも中国企業にとって大きな優位点である。ある靴メーカーによると、中国での労働者1人当たりのコストは4000元前後だが、現地では400元ほど。中国人の生産性がアフリカ人の生産性の2倍であることを考慮しても、現地のコストは中国の5分の1であるという。