中国人民銀行(中央銀行)は29日夜、銀行の預金準備率を0.5%引き下げると発表した。中央銀行は、金融システムの合理的かつ余裕ある流動性を維持し、信用貸付の安定的かつ適度な成長を促し、供給側の構造改革に向け適切な通貨・金融環境を形成することが狙いとした。
春節(旧正月)前後、金融機関の流動性がやや逼迫し、預金準備率の引き下げの観測が強まった。中央銀行はリバースレポ、中期貸付制度、常備貸付制度の操作といった市場ツールにより、流動性を補充した。専門家は今回の預金準備率引き下げは予想通りだったとしている。外貨準備高の減額に対応し、実体経済の発展に十分な流動性を供給することが主な目的だ。
今回の預金準備率引き下げによって、どれほどの流動性が供給されるのだろうか?1月末時点の人民元預金残高が137兆7500億元であることから、0.5%の引き下げで5000−6000億元の流動性が供給されると専門家は見積もっている。
中国人民銀行は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議において、中央銀行の金融政策は穏健でやや緩やかな状態にあるとした。
中国は市場参入条件の緩和、大衆創業・万衆革新、ハイテク産業の発展、経済構造のモデルチェンジ・アップグレードを積極的に促している。これには適切な通貨・金融環境が必要だ。
崑崙銀行戦略投資・発展部総経理助理の李建軍氏は、「今年の中国経済の過剰生産能力の削減といった5大任務、供給側改革の実現には、金融政策、特に流動性の支援が必要だ。預金準備率という長期的かつ資金コストが発生しない流動性を利用することで、企業に長期的な貸付支援を行い、経済の安定成長を維持できる」と分析した。
中国社会科学院金融研究所銀行研究室長の曾剛氏は、「今後一定期間に渡り、金融政策により実体経済に力を注ぎこむと同時に、財政政策により需要全体を刺激する必要がある。また改革を拡大し、経済成長の内的な原動力を引き出すことで、末梢と根本を兼ねて治める」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月1日