(二)潜在失業が表面化するリスクの増大。
景気が低迷する一部の地域や業界では、社内失業や過剰雇用、雇用維持と引き換えに賃金を引き下げたり、雇用者数を確保するために雇用の質を落としたりするケースが見られている。余剰生産能力の解消、経営が立ち行かなくなった「ゾンビ企業」の市場からの撤退を推進するなかで、従業員の再就職などが課題となっている。特に、従業員が春節で帰省する間に生産停止や工場閉鎖に踏み切る企業もあり、春節明けの雇用が一層厳しさを増す。国家信息中心がまとめた「ネットユーザ就職圧力指数」をみると、14年以降で指数の上昇が続いており、雇用情勢の厳しさを示している。
(三)実体経済が直面する困難の増大。
中国経済は依然として底を探る段階にあり、一部の企業は経営が困難に直面し、先行きに対する不安もくすぶる。市場では16年第1四半期の経済成長が引き続き減速するとみる向きが多い。先ごろ発表れた16年1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)、中小企業の景況指標となる財新PMIはいずれも予想に届かなかった。1月の製造業PMIは49.4と、前月から0.3ポイント低下し、6カ月連続で好不況の境目となる50を下回った。財新PMIは48.4と11カ月連続で50未満。ただ、前月を0.2ポイント上回り、改善の兆しも表れている。