(一)中国で人件費コストが急速に上昇している。一部の地域で賃金はすでに東南アジアの数倍に達している。これによって中国製造業の全体的な競争力が低下している。(二)大幅な円安を受け、日本企業の中国での売上高が目減りし、新規投資の機会が徐々に減っている。(三)中国経済が「新常態」時代を迎えた一方、中国での投資に対する日本企業の考えは改められず、以前と変わっていない。中国経済のモデル転換、グレードアップから生まれる新たな商機を充分に認識できていない--。
また、張所長は日本メディアの「中国崩壊論」を煽る恣意的な報道も主因の一つと指摘。
「日本の書店に行けば分かるが、“中国脅威論”に代わって“中国崩壊論”が日本社会で大々的に取り上げられている」と張所長は話す。日本の有識者や大企業が真の中国を理解できるものの、中国の実情に触れる機会の少ない中小企業はこうした誤った論調に騙され、中国経済や投資情勢の先行きを正確に判断できない状況に陥っている。
中日関係はここ数年、波乱が絶えなかった。中国のGDP規模は2010年に初めて日本を超え、15年には日本の2.3~2.4倍に達した。以前の「日強中弱」から現在の「中日二強」に様変わりするなか、二国間関係は今まで経験したことのない領域に入り、トラブルが起きやすい状況になった。さらに、中日関係の背後には「米国要素」も存在する。張所長は「中日の二国間で問題が起きる度に、大体は背後にその“米国要素”が働いているのだ」と指摘する。