日本経済が再び注目を集めている。アベノミクスのせいではない。停滞が続き、デフレ化が進む国際経済に「日本病(ジャパナイゼーション)」の診断が下されつつあるからだ。5月末に伊勢志摩サミットが行われるが、主催国が病のまま参加すれば、病気が他国に伝染しかねない。いかに予防し、脱却するか。世界は不安を抱えている。
モルガンスタンレーのアジア地域担当だったステフェン・ローチ氏は、日本病とは日本経済の長期停滞を指し、長期的になすすべがない経済状態を指すと言う。戦後の日本の景気循環を観ると、1990年以降に5回下降局面があった。2015年までの25年間でGDP成長率はわずか0.8%。年平均7.25%だった45年前の水準にはるかに及ばない。
足元の景気もおぼつかない。連続2四半期でマイナスとなり、日銀も2年ぶりに景気減速の判断を下した。マイナス基調だった円も高騰しはじめ、刺激効果も弱まっている。企業の一部は賃金のベースアップを昨年の半分に減らしている。2%の物価上昇率の達成はおぼつかない状態だ。要するに、日本経済はデフレの病から脱却できておらず、出口さえ見えない状態なのだ。