そのため、伊勢志摩サミットの前に安倍内閣は、財政出動や異次元の金融緩和など再び大型経済刺激策を打ち出すかもしれない。450億ドルの財政出動を使って公共事業を前倒ししたり、商品券の発行をしたりなどだ。消費税引き上げの延期も了承するかもしれない。アベノミクスもすっかり色あせてしまったようだ。
海外のエコノミストたちは、世界経済の減速に対応するためにはアベノミクスをバージョンアップさせるべきだと言う。通貨・財政政策をさらに緩和させ、構造改革とうまくつなげていくべきだという考えだ。しかしこのアドバイスは前例を繰り返す愚策にもみえる。腕のいい医者がそうであるように、処方には塩梅が必要だ。百の病状には百の処方がある。
「日本病」は不治の病ではなく、処方箋がないわけではない。単に安倍内閣の古い方法が、状況の変化に追いついてないだけだ。欧米・日本経済は何度も失敗を繰り返してきたが、その分、医者になるには十分の経験を持つはずだ。今回のサミットでは、不景気に慣れきってしまった思考を転換してみるのはどうだろうか。
(作者:中国現代国際関係研究院元院長 陸忠偉)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月3日