もう一つの事実は中間層の台頭にともなう消費志向の変化だ。中国で中間層の規模が拡大しつつある。「モノがある」だけでは消費者が満足できなくなり、「質の良い製品」への需要が高まり、「温飽」型(衣服を暖かく着て、食物を十分に食べる)から「小康」型(ややゆとりのある)へと消費需要は変化している。巨大産業と厚みを増す消費者層のニーズが完全に一致しないなか、ローエンド産業が供給過剰に陥る一方、中レベル・高レベルの品質を追い求める消費が海外に流出するという現状が生まれた。李総理が複数回にわたって、国民が海外で炊飯器や温水洗浄便座を購入していることに言及した理由とそれに対する懸念もよく理解できる。
「品質革命」を推進するには改革しか道がない。政府が「工匠精神」を提唱し、「放管服」(行政手続きの簡素化と権限委譲、活性化と監督管理の結合、サービスの最適化)改革を推し進め、良好な市場環境の創出と確保に努めている。「品質革命」の遂行には、制度改革を通じて取引コストを確実に低減させ、企業が「工匠精神」を持って製品に専念できる環境を整える必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月13日