政府と日銀は、円安による輸出拡大後の賃金引き上げに期待し、経済界に賃上げを要請したが、大手企業は経済の先行き不透明感は依然として払拭できておらず、企業マインドも改善していないとして、賃金に回すよりも巨額の現金を貯め込むほうを選んだ。
アベノミクスは経済界からの支持を得られないばかりか、与党自民党からも有権者からもそっぽを向かれている。
アベノミクスは、農業、エネルギー、医療の市場開放を進めるとともに、雇用の流動化、女性の労働参加・外国人労働者の受入を目指してきた。しかし、既得権益者らはこぞって反対。安倍政権は既存の勢力、特に自民党の大票田である農協の支持を失えば、選挙で敗北しかねないと危機感を抱いている。
政府のインフレを目標としたインフレターゲット政策は「間違った戦い」であり、量的金融緩和が最善策とは限らないとみる専門家もいる。また、日本のデフレは「1990年代初頭のバブル崩壊後の調整局面」、「高齢化の急速な進展」、「経済の先行き見通しに対するセンチメントの悪化」が3大要因であり、デフレは経済の弊害の結果であって原因ではなく、経済政策そのものが本末転倒だとする見方もある。