日本の厚生労働省が先ごろ発表した調査結果によると、3月時点の生活保護受給世帯は163万5000世帯と、過去最多を更新した。世帯別では、65歳以上の高齢者世帯が82万6000世帯と、初めて全体の半数を上回った。
20世紀中盤の高度経済成長期の日本は、9割以上の国民が自分の生活水準を中流と考える「一億総中流」といわれた時代で、経済成長の途上で経済格差の少ない「優等生」だった。
1990年代の後半になると、日本経済はバブルが崩壊し、企業は人件費削減のため、派遣社員や契約社員、アルバイトといった雇用形態を増やした。
厚生労働省が先月発表した毎月勤労統計調査によると、2015年の実質賃金指数は5年連続マイナスとなった。
安倍晋三首相は5月末に行われた世界の経済情勢に関する演説の中で、雇用情勢の好転は「アベノミクス」の成果の1つだと強調した。確かに数値だけでみれば3.2%という完全失業率は決して高くなく、むしろ米国など多くの先進国を下回る水準だ。だが、雇用統計を詳細に分析すると、2012~15年の3年間に非正規雇用は167万人増加した一方、正規雇用は36万人減少し、雇用者全体に占める非正規の割合は37.5%と、「アベノミクス」推進前の35.2%から2.3ポイント上昇したことが分かる。