多くの科学者は量子通信がこの難題を解決すると期待している。量子通信は、光子の量子状態に伝送情報を載せる原理上は無条件に安全な通信方式となる。情報キャリアの単一光子は分割できず、量子状態も複製できないため、あらゆる盗聴を防止する暗号キー伝送が可能で、暗号化した内容が解読されることは無い。
量子通信は複雑な量子力学の重ね合わせの原理を利用し、量子チャネルでチャネル容量を拡大。その重要な応用先の一つが量子指紋認証となる。量子指紋認証理論は2001年に研究者が提示していたが、各種の技術的制約から世界的にも実験によって従来の限界を超えることができなかった。今回の研究では従来限界に比べ84%少ない情報量の伝送で、量子指紋認証に成功。この実験は世界で初めて従来限界を突破した量子指紋認証となる上、量子チャネル容量が従来チャネルよりも優れていることを初めて観測した。
国際学術界も非常に注目している。『フィジカル・レビュー・レターズ』の編集者は、この実験が「量子暗号キー伝送以外の量子情報通信にも応用できる」と指摘。国際的にも「この研究はその他の非常に多くの量子通信分野で応用されるだろう」と認められた。