中国日本商会が作成する『中国経済と日本企業2016年白書』が20日、北京市で発表された。同白書によると、非鉄金属と紡績業を始めとする輸出型企業の、今後1−2年間の中国における投資拡大意向は2割前後だが、食品や卸売・小売業を始めとする国内販売型企業の同比率は5割以上となっている。日本企業の対中投資は転換期を迎えている。中国の「世界の工場」から「世界の市場」への転換の傾向が浮き彫りになっている。
同白書によると、日本の2015年の対中投資額は前年比25.9%減の32億ドルで、3年連続で減少した。同白書はその原因として、中国の近年の人件費高騰、労働力の維持の難しさなどを挙げた。
中国市場に進出した日本企業は最多の2万3094社で、外資系企業全体の7.9%を占めた。投資業界・分野を見ると、輸出型企業と国内販売型企業には大きな差が見られた。食品業界の52.4%が中国での投資拡大を希望しており、輸送機器(43.5%)、化学・医薬品(37.7%)がその後に続いている。紡績業は19.2%のみ。
同白書は輸出型企業について、人件費の高騰などにより中国の魅力が低下していると分析した。しかし国内販売型企業は中国を高い潜在力を秘めた市場と見なしており、今後も中国市場開拓に取り組み続ける。