中国が初となる移民局の設立を進めているもようだ。シンガポール紙『ザ・ストレーツ・タイムズ』が消息筋の話として、19日付けで報じた。同筋によると、今年に入って間もないころ、中国公安部が内部会議を開き、この件について検討したという。 中国が海外から人材を受け入れるということは、製造業と投資への依存度を引き下げ、「中所得国の罠」に陥るのを回避するための手段ともみてとれる。移民事務局の設立は、まさにこうした見方を裏付けるものだ。
中国の大手シンクタンク、中国グローバル化研究センターの王輝耀主任は、中国が過去数十年間、移民局を設ける必要がなかったのは、国内の人口ボーナスだけで2ケタ成長を維持できていたからだとした上で、「今の中国にとっては、海外から優秀な人材を受け入れるという新たな人口ボーナスによって経済成長を確保する必要がある」との見方を示した。
今や中国で暮らす外国人は60万人に上るが、それでも中国の総人口14億人からすれば、ごく僅かにすぎない。中国が海外から人材を確保するには、ビザの見直しや環境問題の改善、法制度の整備が急務となる。同センターによると、2001年からの10年間に中国での永住権を取得した外国人は僅か7300人だった。中国政府は高度な技術や能力を有する人材を対象に、外国人永住許可証(グリーンカード)の発給枠を拡大するなど手を打っている。
一方、国家行政学院の汪玉凱教授は、移民の受け入れ要件は非常に厳しくなると指摘。「移住局を設立し、新たな移民政策を設けるとしても、我々が欲しいのは優秀な人材であるため、やはり厳しい選抜基準を設けるだろう」としている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月22日