7月22日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は北京での記者会見の際、次のような質問を受けた。―IMFはこのほど、世界経済見通しを下方修正した。その一方で中国の成長見通しを引き上げた。その見直しの根拠は何であるか?― これに対し同理事は「中国経済の見通しを引き上げたのは2つの理由だ。第一はIMFが中国の改革推進の決意を肯定していること。第二にIMFが、中国が”粗放灌漑”的な刺激策を行わないと認識していることだ。我々は中国の経済成長が強い持続可能性を有していると信じている」と回答した。
この質疑応答は、IMFが7月19日、今年の第2回「世界経済展望」を発表したことに背景がある。IMFは、今年度の世界経済全体の成長率の見通しを0.1ポイント引き下げ、さらに各国(特に英国・米国)の成長率についても引き下げた。ただその一方で、中国に対してのみ、その経済予測を0.1ポイント引き上げている。 レポートは「英国のEU離脱は世界経済に多くの不確実な影響を与えうるが、短期的に中国経済に影響を与えることはない」と指摘。IMFの筆頭副専務理事もワシントンで開催されたフォーラムで「中国の経済成長が直面する問題はコントロール可能である。中国政府は現在の債務問題などをうまく解決できる能力を有している」と述べた。
実際、IMFが中国の経済見通しを上方修正したのは今回が今年2回目。4月の第1回「世界経済展望」では、世界経済見通しを1月時点から0.2ポイント引き下げ3.2%としたが、中国については0.2ポイント引き上げた。