世界経済の回復力不足を背景に、一部の国家は近隣窮乏化につながる貿易保護主義と大規模金融緩和の政策を講じ、自国経済の成長に不利な要素を他国に転嫁している。このように持続可能性のない経済政策は、長期的にみると自国と世界経済のいずれにも利益をもたらさない。
ブラジル企画・予算管理省の副大臣は、世界経済が一様に不景気ななか、一部で貿易保護主義が台頭したことは中国の国際貿易に圧力となるとの見方を示した。中国の労働力優位性が弱まって、生産コストが上昇しており、中国の対外開放型経済にネガティブな影響を及ぼす。中国政府はすでにこうした変化を認識すると共に重要な戦略的政策を打ち出し、なかでも企業による海外進出の促進は重要な方策だ。中国企業は製品付加価値と技術水準を向上させる軌道に乗っており、ラテンアメリカ諸国も産業高度化の段階にあるため、中国企業には良いチャンスをもたらす。2015年の中国による対外非金融直接投資は1180億2000万米ドルの過去最高を記録し、増加率は14.7%に達した。中国企業の「走出去(海外進出)」は貿易保護主義のネガティブな影響を軽減した。