これに対し、G20は参加国の数が多いだけでなく、実に多様性がある。G20サミットはロシアと関係がギクシャクしている西側諸国との意思疎通を図る場でもあり、ロシアはこの機会を利用しようと努めるだろう。
ロシアの世論は、今回のG20サミットで中ロ間のこれまでどおりの親密な関係を世界にアピールする場になるとしている。中ロ首脳は個別会談を開く予定で、中国は両国間の友好関係重視の姿勢を示すだろうという見方が強い。
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO)は、中ロ両国間の協力余地は大きいと指摘する。
「中国は、ロシアが主導する旧ソ連諸国の経済連合「ユーラシア経済連合」加盟国との間で自由貿易区を創設する意向があり、発展途上国の世界経済と国際社会における地位の向上や、新たな国際金融システムの構築といった積極的な提案に対してロシアからの支持を得たいと考えている。またこれと同時に、両国の連携により国際的な影響力を強めることもできる」
ロシアの学界は、中ロはともに世界経済の変革期にあると確信しており、EUの分裂と米国経済の低迷はその最たるものだと考えている。旧体制の衰退は新体制の構築に伴うもので、中国が提唱する新シルクロード経済圏構想「一帯一路」やロシア主導のユーラシア経済連盟、および両国の首脳による一帯一路とユーラシア経済連合の連携合意により、世界経済の新秩序に極めて大きな活力をもたらすだろうとの見方を示している。