文=精華大学国際関係学研究院教授 劉江永
G20は、世界の先進国と発展途上国を含む主要経済国の国際交流協力プラットフォームとなっている。世界経済のモデル転換プロセスで発展途上国と先進国が構築した相互扶助システムだ。世界経済が低迷し、試練とチャンスが併存する状況のなか、発展途上国がG20サミットを通じてグローバルガバナンスと持続可能な成長をめぐるハイレベルなコミュニケーションを関連国と図り、世界経済の振興や自国経済成長の視点を理解すれば、国際経済協力に新たなエンジンと大きなインスピレーションをもたらすだろう。
ここ数年にわたる保護貿易主義の台頭は多方面に影響を及ぼしている。これには歴史的な原因があれば、国際金融市場の変動による面もあり、産業の高度化とモデルチェンジの中で生じたものである。発展途上国は長期にわたって国際経済協力と国際産業分業チェーンのなかで低いポジションに位置していた。発展途上国がG20サミットで自国のアドバンテージをさらに発揮できれば、産業構造の調整と科学技術の革新が結合するチャンスが生まれ、現状の困難をやり過ごし、特に南南協力を強化するための大きなメリットとなる。その上、G20はサミットであるため、関連国の意思決定や各産業と部門の実施に対する指導的な力を持っている。
もちろん、会議の具体的な成果と意思決定を実施に移すことができるかどうかは、関連国の誠意、政治的安定の度合いと連続性が決める。実際には各国の間で意思疏通も不一致もあるだろう。将来的にG20を長期間運営するためには、各国が会議でまとめられたコンセンサスや協定を大切にすることが必要で、そうすれば各国国民の福祉も増進できる。筆者は、各国首脳がこうした高度な位置に立って会議に参加する精神を持つ必要があると思う。