国金証券の徐陽アナリストは、人民元レートの双方向変動の常態化と、外貨準備高の変動幅の持続的な縮小に伴い、市場では外貨の大幅な流出に対する懸念が低下し始めたと指摘。外貨を用いた為替介入を行わない中国人民銀行(中央銀行)の方針が外貨のロスを少なくし、資本流出圧力も下がったため、為替介入の必要性も低下したとみている。
また、人民元レートが均衡水準に近付きつつある。複数の人民銀行職員は先ごろ、人民元レートがさらに大幅な元安となる余地は小さく、均衡水準に近づいたとの見方を示した。中国外貨取引システム(CFETS)人民元指数が今年初めの水準に比べすでに6%下がるなか、均衡水準を正確に予測することは非常に難しいが、市場の動きをみると、現在の人民元レートはすでに均衡水準に近づいたと判断できるとしている。
資本流出圧力は緩和へ
外貨準備高の変化には、クロスボーダー資本流動と為替動向が関連している。外貨準備高が2カ月連続で減少したことで、人民元レートの先行きに注目が集まった。
「8.11人民元切り下げ」以降、人民元の弾力性は次第に強くなり、双方向の変動幅が大きく拡大すると同時に、クロスボーダー資本流動が流出圧力にさらされた。業界関係者は、今後一定期間にわたり、クロスボーダー資本流動のトレンドが改善し、人民元レートも安定を保つとの見方を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年9月8日