幕を閉じたばかりの主要20カ国・地域(G20)首脳による杭州サミットでは、「グローバル化」が会場内外で頻繁に聞かれるキーワードとなった。数十年にわたる怒涛の変転を経たグローバル化は現在、明るい面と同時に暗い面も見せ、その前進と後退に注目が集まっている。
グローバル化のプロセスは、技術の進歩に伴って次第に加速し、モノ・資金・人間の流動で活力を増した世界は、ますます地球村の様相を呈しつつある。だがグローバル化の巨大な発展においては、いくつかの問題と矛盾の発生も起こっている。
「反グローバル化」を訴える人々は、グローバル化が、一部地域のもともと生存に適していた環境や生態を破壊した上、利益の分配に不均衡をもたらしたと考えている。世界においては先進エコノミーがより多くの利益を獲得し、単一国家の内部においてはエリート層がより多くの利益を得た。欧米などの先進国では中産階級が縮小し、ポピュリズムが台頭するなど、数々の試練が出現している。
グローバル化プロセスの後退を回避し、世界経済が前進を続ける原動力を保つことは、杭州サミットが直面した重要な任務となった。
小さな知恵は個別の問題を解決し、大きな知恵は制度の問題を解決する。
中国が主催した杭州サミットで追求された重要な目標の一つは、世界ガバナンス体系のより公正で合理的、有効な方向への発展を推進し、グローバル化プロセスにおける包摂や共有の不足などの問題を直視することだった。中国の手引きの下、杭州サミットでは、特色ある解決プログラムが提出された。
このプログラムは、成長方式の革新や世界経済金融ガバナンスの改善、開放型世界経済の構築、包摂的で連動式の発展の推進を強調し、G20の協力成果の恩恵を世界に行き渡らせるものとなった。西湖の湖畔で達成された「杭州合意」は、反グローバル化の声に対する有力な反撃とみなされている。
G20メンバーは杭州で、開放型世界経済の建設に引き続き努力し、保護主義に反対し、世界の貿易と投資を促進し、多角的な貿易体制を強化し、グローバル化の背景の下での経済成長を確保し、より多くの人にチャンスを提供することを約束し、人々の幅広い支持を受けた。
「G20世界貿易成長戦略」や「G20世界投資ガイドライン」などの文書の採択を通じて、G20は、強力な国際貿易・投資を支えとして、世界経済の新たな活力の湧出を確保し、経済グローバル化のプロセスのさらなる深まりを推進しようとしている。
グローバル化のプロセスを持続させるためには、成長方式の革新によって原動力を補充するだけでなく、包摂的な発展を進め、発展の成果をすべてのエコノミーに行き渡らせることが必要となる。
今回のサミットでは中国の手引きの下、開発問題がG20史上初めて、世界のマクロ政策の枠組における際立った位置に置かれた。国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施のための行動計画が初めて制定され、気候変動問題においてできるだけ早く行動することが同意された。
経済グローバル化の時代において、各国の発展は緊密に結びついており、一国が栄えれば皆が栄え、一国が損すれば皆が損する状況となっている。発展途上国が自ら努力することはもとより、先進エコノミーもゼロサムゲームの態度を捨て、発展途上国に機会を開放し、支援を提供すべきであり、そうすることでその発展から報いを得られることともなる。
「皆が良くなることで、世界はさらにすばらしくなる」。グローバル化のプロセスを引き続き前進させるには、世界経済の強力で持続可能な、バランスの取れた、包摂的な成長を各国が共同で促進する必要がある。杭州サミットは、経済のグローバル化にとっての新たな起点の一つと言えるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年9月9日