ユーロモニター社は先ごろ、2016年世界の消費者トレンドに関する研究報告を発表した。今年、最も重要な消費トレンドを10項目にまとめた。
1.予測困難な消費者
消費者の多くが、買い物の場所や好みのブランドを頻繁に変えている。メーカー側が彼らのブランド忠誠度を刺激するのは難しい。これら消費者を惹きつけようとする場合、価格面で訴求するだけでは全く足りない。 消費者の多くは、お金が限られていることから価格を非常に重視する。これは低所得者だけでなく中産階級の中にもよく見られる。そのため、現在の消費者はセールのときに物を買う。研究によると、より安いセール品を探すためにイギリスの消費者は、スーパーに滞在する時間が10年前より倍増している。消費者は常に、小売店で売られる商品の価格変動に注目し、比較している。そして積極的に定価で商品を買わないことで、間接的にメーカーと交渉している。彼らにとって最もリーズナブルな価格を追求しているのだ。
2.お金で時間を買う
消費者の間で時間を重視する価値観が増加している。多くの人が時間を贅沢なものと認識している。最も直接的な方法として、消費者はしばしばお金を使うことで時間を節約する。彼らは便利で速いことを求めるだけでなく、生活の一部を“下請け”に出すのを好む。イギリスの小売店は、2015年末までにイギリスの消費者の約3分の1がインスタント食品を選択することで、キッチンに費やされる時間や手間を節約していたと推測している。ある調査によると、中国では18歳から35歳までの消費者のうち58%が、一人暮らしの豊かさから自由の度合いを判断している。
3.アンチエイジング
数多くの国で高齢化問題を抱えている。しかし2016年、55歳から65歳までの消費者はより活発になっている。仕事の割合が増え、心と体の健康維持に熱心で、全体の生活がより充実している。これにより消費者はますます多様化している。
観光産業の人気が、高齢消費者層の間で高まっている。イギリス紙「ガーディアン」の調査によると、イギリスの観光消費の大部分が50歳以上の消費だった。
4.社会変革の推進
ミレニアム世代を筆頭として多くの消費者が、自らの行動を通じて社会改革を推進し、様々な社会問題を解決したいと考えている。そんな彼らの考え方は、ブランドニーズにも体現されている。消費者は企業が社会的責任を持つことを期待している。消費者だけでなく、若い起業家も社会環境の改善を自らの使命としている。いかに人々の生活を変えるかということが、単なる物質的豊かさ以上に重要になっている。 若い消費者の物質的所有欲が減退し、より環境にやさしい「シェアエコノミー」を重視するようになったことで、Airbnbなどのシェア関連企業が急速に成長した。各ブランドは単なる商品だけでなく「ライフスタイル」の創造に力を入れ始めた。シューズブランドのTOMSを創業したBlake Mycoskie氏は、自らの店舗が人々の交流の場や情報交換の場になってほしいと考えている。
5.性別の曖昧化
社会の発展に従い、男女差は日増しに曖昧になっている。消費者にせよメーカーにせよ、伝統的な「男性」「女性」の看板標識を捨て始めた。特にファッションや玩具産業で顕著となっている。 昨年10月にディズニーは、全てのハロウィンの服装を「子供向け」と表示し、男の子向け、女の子向けとはしなかった。アマゾンも玩具類の分類に男女の区別をすることをやめた。トイザらスのグローバル担当者は、「これらの玩具は様々な子供たちのためにある。しかし、彼らの性別に必然的な関係性はない」と述べる。ファッション業界ではMarc JacobsやH&M、Hermèsなどの大手を含む多くのブランドが、中性的なスタイルで流行を創りだしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月24日