こうした中、今回のBRICS首脳会議では、昨年業務を開始したBRICS5カ国が運営する国際開発金融機関「新開発銀行(BRICS銀行)」(2014年7月設立)に続き、同行に付属する新たな研究機関の設置や欧米主導でない新たな格付け機関の設立に関する議論が行われるとのことである。近年、欧米主導の国際金融機関とは別の形で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を含めこうした新たな国際金融機関が相次いで設立されている背景には、世界経済が長く続いている低迷状態から中々脱却できないでいること、また英国のEU離脱の世界経済に対する影響が不透明であることなど、従来の国際金融体制では根本的な解決が難しくなっている現実があるからだろう。
実際にBRICS各国には、土地、食糧、天然資源、人口など、金融経済の裏付けとなる実体経済を生み出す要素が豊富に存在しており、そこから生み出される経済価値の潜在力は計り知れない。確かに、財政赤字、過剰債務、インフレ、通貨安など金融・財政面で多くの課題を抱え、経済面の不安が少なからずあることは間違いない。しかし、しっかりした実体経済の基盤があれば、多少の金融不安が生じたとしてもその国の経済自体はそう簡単に揺らぐものではない。このようなBRICS諸国の隠れた経済的潜在力は、それぞれの国によって近い将来国内総生産として新たな価値をもって表に現れてくる。その時の経済規模は予想できる範囲を超えるものであろう。
(本稿は筆者個人の意見であり、中国網や所属機関を代表するものではありません。)