ロンドンの最高級デパートのひとつであるハロッズで、20歳ぐらいの中国人女性、裴春梅さんがフロアを行ったり来たりしている。彼女は自分のiPhoneを手にしながら、微信(中国のLINE)を使ってひっきりなしに顧客とやり取りをしている。彼女の仕事は代理購入業である。
中国の消費者のために、時計やジュエリー、服、化粧品などの高級品を代理購入しているのだ。いま彼女の顧客は、860ポンドするディオールのネックレスを買おうと考えている。もう一人の顧客は1500ポンドするセリーヌのハンドバッグを買いたいと思っている。
英紙「フィナンシャルタイムズ」のウェブサイトが報じた。ニセモノ対策のため、ほとんどのブランドショップでは商品の撮影を禁じている。そのため彼女は、電話やショートメールを通じ、顧客に新商品の価格や色、細かい商品説明を顧客に伝えている。顧客が買うと決めると、彼女は免税手続きを行い、自分のクレジットカードで商品を買い、荷造りし、郵送する。顧客からは一定の手数料を取る。彼女はその額を明かしたがらなかったが、通常は商品の5%から15%といったところだ。
ベインキャピタルの予測によると、裴春梅さんのような代理購入による売上は昨年、340億元から500億元に達したという。中国全体の高級品消費の12%に相当する。しかしこの額は、2014年と比較すれば20%の減少となる。ベインキャピタルは、利益余地の縮小と中国政府の輸入商品規制強化により、代理販売商品による売上はさらに減少すると予測する。