中国中央銀行が10月18日に公表した最新データによると、9月末の外貨取引は前月比で3375億元の売り越しとなった。売り越しは11か月連続で、売り越し額は今年1月に次ぐ高水準となった。
申万宏源のチーフマクロアナリストである李慧勇氏は「証券日報」の取材に対し、高水準の売り越しには3つの要因があると指摘する。第一に、人民元の下落期待が引き続き高まっていること。第二に、国民の出国によって外貨需要から資本の流出が加速していること。第三に、9月はG20の開催や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測があったことから、中央銀行が外貨取引への関与を強め、為替相場を維持したからである。
「外貨取引での売り越しが今後さらに進めば、外貨準備高とのギャップが明確になるだろう」。李氏は、今年になってしばしば、外貨取引と外貨準備高にギャップが見られると指摘する。データの偏差が大きいのだ。その主な要因は、資産価値評価と為替レート評価が上昇した結果、外貨準備高が底堅く推移しているからである。この現象は今後も見られることだろう。FRBが予告する利上げの時期である年末が近づいていること、毎年1月には国民が外貨を買い求めるという季節要因があることから、10月以降も人民元の下落は続く見通しだ。
現状、年末までは元の下落リスクの可能性が比較的高く、外貨取引も売り越しが続くだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月21日