人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨となってから、11月1日で1カ月になる。証券日報の記者が外貨取引センターから得た情報によると、人民元の対米ドル中間レートは31日に1ドル=6.7641元をつけ、前営業日より217ベーシスポイント上がった。人民元中間レートは16営業日で863ベーシスポイント下がっている(1.3%低下)。
米ドルを除き、人民元はその他のSDR構成通貨に対して元高傾向を示している。証券日報の調べによると、人民元レートは10月1日より対ユーロで0.78%、対円で2.09%、対ポンドで4.67%上昇している。
蘇寧金融研究院マクロ経済研究センター長、上席研究員の黄志竜氏は証券日報に対して「米ドル指数は昨日0.62ポイント低下し、人民元レートが200ベーシスポイント以上の伸びを示した。これは人民銀行が『終値+SDR構成通貨レート変動』という為替形成メカニズムを、十分に貫徹・実行していることを意味している。中央銀行の政策の重点は、CFETS(中国外国為替取引システム)指数の安定の維持だ」と指摘した。
中国人民大学財政金融学院副院長の趙錫軍氏は、証券日報に対して「人民元のSDR構成通貨入りは、他国の投資家の人民元建て資産への投資に制度の計画・保証が備わったことを意味する。将来的に購入するかについては、人民元建て資産の状況、中国国内の資本市場の開放の程度によって決まる」と話した。
趙氏は「人民元がSDRの構成通貨になってから1カ月に渡り、人民元はSDRの構成通貨に対して安定的な流れを維持している。長期的に見ると、人民元レートは中国経済のファンダメンタルズ、国際収支状況、外貨準備高、金融の安定性といった要素によって決まる。これらの要素は、一方的な元安を促さない。短期的・中期的に見ると、人民元レートを左右する要素はより複雑である。主に投資家の観測、情緒、世界の経済・政治的変化、国家の関連するマクロ政策の調整と関わる。現状を見る限り、米国の金融政策の調整は、短期的に人民元レートに影響を及ぼす最も重要な要素だ。米大統領選の不確定性は、世界経済・金融市場の変動を引き起こしている」と分析した。
黄氏は「短期的に見ると、米連邦準備制度理事会の利上げが決まるまで、人民元の対米ドルレートは圧力を受け続ける可能性がある。しかし米ドルに対して極端な元安が生じなければ、中央銀行は人民元の対米ドルレートの変動に対して高い容認度を維持する。これは昨年8月11日の為替改革前の教訓を汲み取ってのことだ。米ドル指数は当時、1年で20%弱も上昇したが、人民元の対米ドルレートを適時調整しなかったことで、ドルに対する元安の圧力が蓄積されていった。これにより8月11日以降、極端な元安圧力が生まれ、国際社会から広く注目された」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月1日