≪基本養老保険基金投資管理弁法≫の発表や≪全国社会保障基金条例≫の施行、全国社会保障基金(社保基金)理事会の年金管理部新設と人員配置、基本養老保険基金証券投資管理機構による審議公告の発表に続き、中国人力資源・社会保障部(人社部)は先ごろ開かれた2016年第3四半期定例記者会見で、第1陣の運用委託省と社保基金理事会が年内に契約を結ぶとの見通しを明らかにした。2016年中の年金基金の市場流入が秒読み段階に入ったとしている。
武漢科技大学金融証券研究所の董登新所長は『証券日報』の取材に対し、2015年末時点で企業従業員基本年金保険基金の残高が1000億元を超える省・市は、広東省(6135億元)、山東省(1971億元)、上海市(1109億元)、江蘇省、浙江省、北京市、四川省の7つあると指摘。うち広東省以外の省・市は残高がいずれも1000億元以上2000億元弱の水準となっており、第1陣の運用委託省は、この7つの省・市から出る可能性が高いとみている。
年金基金の市場流入規模について華泰証券の戴康チーフ・ストラテジストは『証券日報』の記者に対し、2015年の国全体の基本年金保険基金残高が前年同期比12.0%増の3兆9937億元で、この残高を純資産額とみなし、その30%を上限として計算すると、理論上は1兆元ほど(1兆1981億1000万元)の資金が市場に流入するとの見方を示した。また、運用管理可能な年金資金を2兆元、A株投資の当初比率15%とした場合、年金資金の流入規模は3000億元と、現在のA株時価総額の約0.77%に相当する水準に上ると試算した。