中国は貿易面で米国を排斥するつもりは毛頭ない。これは中国がFTAAPを支持する理由だ。中国は自国の実力を使い、RCEPに中国に適した原則を押し付けようとしていない。中国の最大の主張は周知の通り、互恵・ウィンウィンだ。
TPPに押された米国の烙印が、RCEPの中国より遥かに多いことは間違いない。しかも米国の烙印は、経済以外の要素にも押されている。振り返ってみると、これらの経済以外の要素はTPPを促進しなかったばかりか、米国内の反発を強めた。これは一つの教訓だ。
トランプ氏は経営者出身で、ビジネスを大きくするため守るべき基本原則を熟知している。チャンスと利益を共有することを熟知していれば、他者より多くの分前を得ようとはせず、最終的に大きな勝利を手にする可能性が高くなる。「アジア太平洋リバランス」を目指したオバマ政権は目先の利益にとらわれすぎた。トランプ氏がオバマ大統領よりも大きな度量を持つか、要注目だ。
国と国の自由貿易協定(FTA)、それから地域内の多国間自由貿易協定は通常、他国・地域の利益を脅かさない。自由貿易協定は現在、世界で最も開放的な、その他の自由貿易協定と重なり合う経済貿易計画だ。一国が同時に複数の自由貿易協定に参与できる。地政学的な考えを持ち込んだTPPは反面教師だ。
アジア太平洋の自由貿易枠組みが、米国を排除することはない。米国はまだRCEPに参加していないが、この地域自由貿易協定は米国の自由貿易の需要と向き合っている。このような利益の結びつきの実現を、中国は歓迎する。
中国人は単独でアジア太平洋の貿易ルールを作り、米国の利益と態度を無視しようとしたことはない。わざわざ米国と対立しても、中国にとってメリットはない。米国との互恵・ウィンウィンの模索は、中国の平和的台頭の基本方針の一つだ。
一つの国際組織の中で誰の役割が大きいかは、容易に観察し確認できる事実だ。ところが主導という言葉は多く用いられ変質しており、世界多元化の流れがその伝統的な意義を絶えず脅かしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月17日