米シカゴ・トリビューンは23日、「トランプが環太平洋パートナーシップ(TPP)協定を抹殺するのに伴い、中国は12月の交渉空白期間に注目」と題し、米国がTPPを離脱すれば、関心の軸足は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)へ移ると報じた。RCEPは中国が参加している一方で、米国は除外されている。米国が貿易保護主義に転換するなか、RCEPは貿易を切望するアジア諸国の「最も素晴らしい希望」となっている。RCEPが実現すれば、中国はアジア太平洋地域での政治的リーダーとしての役割が強固なものとなり、世界第2の経済大国が同地域に一段と融合するとしている。
アジア開発銀行(ADB)のメノン・チーフエコノミストは、「RCEPのような協定が実現することは、中国が大きな勝者になることを意味する」とし、「世界は中国が世界最大規模の協定を掌握したとみなすだろう」と指摘した。
米ニューヨークタイムズは21日、「TPPの行き詰まりは決定的、中国が最大の勝者に」と題して、2011年より中国、日本、オーストラリア、インドとその他アジア12カ国の貿易交渉代表が、RCEP実現に向け年に数回の会合を開いていると報じた。シンガポール国立大学リークワンユー公共政策大学院のマビューバニ院長は、「TPP交渉が失敗すれば、最大の勝者は中国となる。それは疑いようのないことだ」と語る。