米国東部時間21日、次期米大統領のトランプ氏は、就任初日に環太平洋経済連携協定(TPP)離脱の意向を伝えると述べた。
TPPの棚上げは、中国に大きな戦略的余地をもたらした。しかし中国人は、これを単純に笑うことはできない。トランプ氏は「公平な二国間貿易協定の交渉を進める」と表明しており、中国は新たな戦略構造において自立するため、冷静に情勢を見計らう必要がある。
米国の政界には、大統領選中の公約を実行に移すかは別問題という、潜在的なルールがある。まだホワイトハウスに正式に入居していないトランプ氏は、多くの問題で口ぶりを微妙に変化させている。多国間貿易協定の問題においてもそうだ。
これはなにも新鮮なことではない。オバマ大統領は2008年に大統領選に出馬した際に、「米国人労働者の雇用機会を創出する」ことなどを理由に、北米自由貿易協定と韓米自由貿易協定に明確に反対したが、その後はこの約束を反故にした。今やオバマ版のTPPが断念される可能性が出てきたが、トランプ版がそれに代わろうとしている。
生産要素のグローバル最適化配置の流れにより、米国内の低技能労働の雇用が流出しているが、鉄鋼・紡績・衣料品・家電などの環境を汚染する労働集約型産業を、世界各地から取り戻したり米国で再建することは不可能だ。経営者としてグローバル化の急速な発展から利益を得たトランプ氏は、そのことに気づくだろう。
TPP離脱を叫ぶトランプ氏は、わざと泳がせておき、一歩下がって二歩進む戦略を推進している可能性がある。この措置により、すでに大統領選で利益を手にしている。トランプ氏のTPP離脱の姿勢により、米国の交渉相手はさらなる譲歩を強いられるだろう。
アジア太平洋経済一体化、地域の貿易・投資の自由化・利便化の促進は、大勢の赴く所となっている。「両刃の剣」の効果を持つ経済グローバル化は現在、世界のバリューチェーンの深い再構築を促しており、貿易保護主義の流れを生んでいる。この乱れのなか、情勢に応じるのが最も賢明な選択となっている。
二国間の経済貿易関係を重視するトランプ氏は、中国という世界2位の経済体を軽視できない。米国の労働者に雇用機会をもたらそうとしているトランプ氏は、大規模なインフラ整備などの新たな計画を打ち出している。この分野で、中米両国の利益の多くが一致している。
経済貿易関係を政治化させず、実務的に協力を推進することで、中米両国民に実益をもたらすことができる。歴史の新たなスタートラインに立った中米関係は、多くの新しいチャンスを迎えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月26日