このたびの日本不動産市場の復興には、金融現象の側面がより大きい。13年に金融緩和政策が実施されると、日本円の対米ドルレートは40%近く値下がりし、円資産の価値が相対的に目減りした。これにここ数年の訪日外国人観光客の倍増傾向が加わって、東京や大阪などの主要都市では大型商業施設が新たに建設されたり、改装されたりしている。また東京の五輪招致成功も不動産の復興にとって好材料になった。今年初めにマイナス金利政策が実施されると、銀行の貸出が激増したが、日本企業の投資ニーズはそれほど大きくないため、大量の資金が不動産に流れ込むことになった。
海外資本の注入も日本の不動産市場を活気づけている。14年に海外企業の日本不動産購入額は1兆円に達して前年の3倍になり、日本不動産市場の取引額全体の2割を占めた。中でも中国資本の動きが活発だ。日本不動産研究所のまとめた統計をみると、過去1年間に360億円あまりの中国民間資本が日本の不動産市場に流れ込んだ。中国資本が購入する不動産の種類には、シンボル的な商業ビルもあれば、観光施設もあり、個人向け住宅もたくさんある。
しかし最近の円安が建築材料価格と人件費の上昇を招き、ここ1年は円高が進んだこともあり、日本の不動産は今ではそれほど安くなくなった。中国人向け不動産賃貸事業を担当する銀行関係者は、「東京の住宅価格は3年前に比べて2割前後値上がりした」と話す。