世界的な原料炭不足が今回の価格高騰の一因だ。中国政府は経営効率の悪化した石炭会社の合理化を進めるため、石炭生産量の年内削減目標を2.5億トンに設定。中国国家発展改革委員会(発改委)によると、炭鉱の操業日数を制限するなどして年内目標を達成できる見通しだという。一方で、中国国内でも石炭の深刻な供給不足が起き、輸入量が急増している。これを受け、政府は急遽方針を転換し、10月末には石炭企業に増産を命じた。
世界の石炭消費量の約半分を占める中国で需給が逼迫したのに加え、世界有数の産炭国であるオーストラリアで炭鉱事故が相次いだため、国際市場で需要圧力が高まっている。原料炭価格は昨年末に1トン80ドルを割り込んだが、足元ではすでに300ドルを突破。投機筋がさらなる値上がりを期待して国際取引に流れ込んだことで、価格高騰に拍車がかかっている。
新日鐡住金やJFEホールディングス、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、鋼材価格の値上げによるコスト増加分の相殺を図るが、取引先の反発を招くことは必至で、今後の業績への懸念が拭えない。