上海発展研究基金会主催の「2016年中国経済フォーラム――安定成長、リスク低減、改革促進」が12月5日、上海で開催された。グローバル経済と中国経済の未来について専門家たちが熱く議論した。
IMF前副総裁の朱民氏は、グローバル経済は依然として低成長が続いており、アメリカ経済の行方が世界最大の不確定要素となっていると述べる。
中国の経済成長について中国社会科学院の蔡昉副院長は、「改革によって中国の経済成長のポテンシャルが高まる可能性が高い。中国は“L”型の成長をしながら、2022年に一人当たりGDPが12600ドルに達し、高所得国家に仲間入りする可能性がある」と述べる。
「この2年でグローバル経済は、GDP成長率、投資、貿易が共に減速し、原油価格もCPIも下落し、実質利率も下がり続けるというマイナス面の影響があった」と朱民氏は指摘。その上で、今後2~3年のグローバル経済は引き続き低空飛行を続けると予測する。
トランプ氏の経済政策が世界に与える影響について朱民氏は、確定的なものと不確定なものに分けて解説する。「確定的なものは、トランプ氏が当初考えていた通り、企業所得税の35%から15%に減税すること、アメリカ本土の企業の貿易保護主義的措置を実施することなどだ。不確定なものは、トランプ氏がどうやってその政策を実施するのかということだ」。
朱民氏は、アメリカがインフラへの支出を増やすことで経済が活性化すると分析する。同時に、2016年にFRBが利上げし、来年も引き続き利上げする可能性があると予測する。「米ドルが強くなるに従い、グローバル資本も影響を受ける。一方、アメリカも財政赤字や経常赤字に直面するため、米ドルの動きは上下することになる。そのため、資本市場や中国経済はその影響を受けるだろう」。