1月24日には、カナダから米国に石油を輸送するパイプラインのプロジェクト再開を決定。これはオバマ大統領が環境保護の観点から建設を中止していたものだ。その翌日にも大統領令に署名し、メキシコとの国境に長さ約2千マイル(約3200キロメートル)の壁を建設するとしたほか、不法移民を保護する州や都市(サンクチュアリーシティ)への補助金を削減するとし、移民を制限して国の安全性を向上させたい考えを示した。大統領令を受けてメキシコの通貨ペソは大混乱に陥った。
2月になると、トランプ大統領はこれまで災難だと批判してきた金融規制改革法「ドッド・フランク法」の見直し方針を示し、金融規制緩和の動きが始まった。その数日前には、驚異的な税制プランを制定中で、税制を大幅に簡素化する方針であることを明らかにし、選挙中の公約を実現しようとする姿勢をアピールした。
以上のような正式に署名した大統領令や覚書だけではない。トランプ大統領は米国で工場を建設し、雇用を増やすよう、各国に絶えず圧力をかけている。「米国を再び偉大にする」との政策を受けて、各国は米国の今後の政策や影響の不確定性を深刻に受け止め、日系企業は方針を決めかねている。
ロイター社がまとめた最新の調査結果によると、トランプ大統領の政策の不確定性は企業の対米投資への懸念を著しく増大させている、日系企業の3分の1は次年度には日本国内事業への投資を増やす計画だが、米国事業への投資を増やすことについては消極的という。