深みのないブランド、劣化する品質神話
中国の高級車市場において、アウディ、BMW、ベンツなどのトップブランドと比べると、レクサス、インフィニティ、アキュラのブランド力は低い。2016年、これら3ブランドの販売数はそれぞれ109,150台、41,590台、9,062台だった。販売数が最も多いブランドですら、高級車の中でB~C級レベルだ。
日系高級車は、ストーリーやブランディングの面で欠陥を抱える。ドイツ系の3ブランドには、それぞれブランドの特徴がある。ベンツはラグジュアリーな快適さで知られる。BMWは早くから、スポーツ性と走る喜びを体現しようとしてきた。アウディはテクノロジーのイメージが強い。それに比べ、1980年代末に北米市場で成長してきた日系高級車は、親会社の大衆文化的イメージと同様、「無駄を省く」ことで製品を向上させてきた。文化的ストーリーの面でもドイツ系に追いつけない状況にあった。
中国市場に焦点を移すと、ニューカマーたる日系高級車は、ブランド影響力の面でドイツ系ブランドに太刀打ちできていない。BMWのエリート幹部だったDaniel Kirchert氏を迎え入れたインフィニティはこの数年、リアリティショーなど新しい趣向のイベントを通じてブランドの知名度や市場影響力を上げてきた。しかし同氏が辞任した後のインフィニティは再び沈黙し、何も動きがない状態にある。