ロイター社のこの企業を対象とした調査では、回答企業の33%が日本国内での資本的支出を増やすことを検討中とし、57%は前年度並みの投資水準を維持すると答えた。これは17年の日本経済の持続的回復の実現を予感させるプラスの現象だといえる。みずほ総合研究所調査本部経済調査部の徳田秀信主任エコノミストは、「海外需要の低迷で、日本の製造業関係者はこれまで資本的支出に様子見の態度を取ってきたが、彼らの立ち位置が徐々に変わりつつある」との見方を示す。調査で米国でのビジネス計画があると答えた企業のうち、「米国の需要は今後1~2年は拡大する。トランプ大統領の政策により雇用が生まれ消費支出が促進される」との見方を示したところは半数をやや上回る程度だった。27%が「米国の需要は横ばい」と答え、残りは「需要は縮小する」と答えた。
調査によると、日系企業の多くが17年度の対米投資には引き続き様子見の態度を示した。化学工業メーカーのマネージャーは、「米国が何をしようとしているのかよくわからないから」と述べ、他の回答者も基本的に同じ態度を取り、「状況をみているところ」と答えた。企業は85%が、「企業として米国での関連事業に対する立場に変化はない」と答えた。
徳田エコノミストは、「日本企業は2方面の要因を検討中で、1つは国境税の徴収や関税の引き上げといったマイナス要因、もう1つは規制緩和や減税といったプラス要因だ。こうした要因はいずれも、今は先がはっきり見通せない」と話す。