特筆すべき点は、ここに韓国の寄港先が全く出てこないことだ。ヨーロッパ最大手のクルーズ会社であるコスタクルーズが最近発表した今年下半期の計画にも韓国の寄港先はなかった。これは、韓国の中国人観光客が激減しているという現状の縮図とも言えるだろう。韓国の観光当局が発表している統計によると、今年のメーデー3連休中、韓国の済州(チェジュ)島を訪問した中国人観光客の数は昨年の2万8千人から82%減の4960人に激減した。
この現状について、業界関係者は、「THAAD配備が判明して以降、韓国を訪問する中国人観光客は激減した。中国国内の多くの旅行社は韓国旅行の商品の販売を中止した。ロイヤル・カリビアンを含む日本や韓国に向かうクルーズ船を運航している会社も韓国を避けてコースや商品の調整を行っている」と指摘している。これにより、クルーズ船市場の勢力図にも変化が生じている。韓国の人気低下により、日本が一番人気の旅行目的地となっている。また、フィリピンやベトナムなどを含む東南アジア諸国も新たな商機を迎えている。その他、クルーズ船会社は中国市場の開拓や商品、サービスのグレードアップの足並みを加速させている。
26日の発表会で、劉総裁は、「当社は中国市場においてスイートルームとサービスのグレードアップを実施する」と発表した。今年の夏、中国市場に投じているクアンタム・オブ・ザ・シーズとボイジャー・オブ・ザ・シーズのクルーズ船4隻に、クラウンスイートルームを特別に設置。港への送迎、乗船、部屋へのチェックイン、食事、娯楽、ショッピング、寄港先での観光など、さまざまなシーンで優先的な待遇を受ける便利なプライベートVIPサービスをVIP客に提供する。また、クアンタム・オブ・ザ・シーズとオベーション・オブ・ザ・シーズのメゾネットタイプのスイートルームは、「海上の豪邸」と称され、ゴールドカードを持つスイートルーム利用客だけを対象にしたゆっくりと休憩できる「サンシャインルーム」を開設し、食事やドリンクを提供する。
その他、劉総裁によると、ロイヤル・カリビアンはボイジャー・オブ・ザ・シーズのクルーズ船の設計・製造を進めており、19年に就航し中国市場に投じられる予定。新しいクルーズ船には、同社が長年アジア市場で積み重ねてきた商品の最適化の実践経験と知識が詰まっており、その設計や造船の水準は世界に衝撃を与えるほどのハイレベルで、中国のクルーズ船市場の発展にとって新たな一里塚となるに違いない。
「人民網日本語版」2017年5月5日