5月9日に伝えられたところによると、支付宝(アリペイ)は中国市場の支配的地位に満足していないようで、馬雲氏率いる螞蟻金融服務集団(螞蟻金服)は8日、支付宝が電子決済サービス会社のファーストデータと提携契約に調印し、会員は米国の400万店舗で買い物できるようになると発表した。
支付宝北米支社のスウヘイル・バドラン総裁は、「支付宝が米国のどこでも利用できるようになり、世界のその他の国・地域にも普及するだろう」と述べ、米国での一騎打ちは望んでおらず、一定規模の提携パートナーと生態系を構築していく考えを示した。
中国のモバイル決済市場において、支付宝とWeChatは支配的地位にあり、市場シェアは計90%に上る。支付宝は現在、海外で生活する中国人へのより幅広いサービスの提供を模索している。支付宝のモバイル決済ではアメリカン・エキスプレス、Visa、マスターカードのクレジットカードが使用でき、70カ国の10万店舗以上の小売店で支払いが可能。
アップルの決済サービス「Apple Pay」も勢いがあり、先日の財務報告電話会議でティム・クックCEOは、「アップルのモバイル決済サービスは米国の450万店舗で使用できる」と述べた。しかし、ファーストデータとの提携により、支付宝の規模はあっという間にApple Payに追いついた。
実は、米国のモバイル決済の発展は中国よりはるかに遅れている。iResearchの統計によると、2016年の中国のモバイル決済額は38兆元で、前年の3倍に増加した。一方、米国の調査会社Forresterの統計によると、米国の2016年のモバイル決済額はわずか1120億ドルで、中国の50分の1にも満たない。
支付宝は現在、国際市場の開拓に力を入れている。螞蟻金服は12億ドルで送金ネットワーク会社のマネーグラムを買収する方針を固めている。また、中国銀聯も米国の決済ネットワークと共同でモバイル決済の国際基準を制定している。
2015年、ファーストデータはプライベート・エクイティファンドのKKRの後押しにより上場。同社はデビットカードネットワーク、プロセッシング業務を行い、店舗に詐欺行為の調査とデータ分析サービスを提供している。2016年11月、支付宝と共同でカリフォルニア州とニューヨーク市の某高級ブランド店で試験を実施した。ファーストデータの株価は今年17%上昇し、245社からなるラッセル1000金融株指数の3.4%を上回っている。8日、グローバル業務ソリューション部門の取引が7%増加したことにより、同社の第1四半期の営業収入は予想を上回る17億3000万ドルに達した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月11日